不動産を活用する「人生100年時代」の老後資金の備え方 ~長寿国ニッポン~

2022/11/01

「老後破産」や「年金破綻」など、老後の生活を不安にさせる話題が目立ち、将来は受給年金の縮小が進んだり、高齢化社会の進行で介護費用が高額になっていくと予想されています。
高齢になるにつれて医療費などの負担も増えてくることが多いので、公的年金だけに頼らずに老後資金の準備が必要だと考えられます。

老後の生活資金を形成する手段としては、預貯金や個人型確定拠出年金(iDeCo)、株式投資や投資信託などさまざまな方法がありますが、その中でも不動産を活用して資産形成することのメリットをお伝えします。

人生100年時代の老後とは

多くのメディアで人生100年時代という単語を見聞きするようになりましたが、世界の中でも長寿国の日本で私たちは何歳まで健康に暮らせるのでしょうか。

世界保健機関(WHO)が発表した「World Health Statistics 2021」によると、世界一の長寿国は日本であり、平均寿命は男女平均で84.3歳です。
男女別だと日本男性の平均寿命は81.5歳でスイスの81.8歳に次いで2位で、日本女性の平均寿命は86.9歳で1位となっています。

同じくWHOが提唱し発表した「健康寿命」というランキングもあります。
この健康寿命とは介護を必要とせず自立した生活ができる期間のことで、こちらのランキングの世界1位も日本であり、男女平均で74.1歳です。
男女別だと男性が72.6歳で、女性が75.5歳とどちらも世界一となっています。

 

まとめると下表のとおりです。

 

平均寿命

健康寿命

男女平均

84.3歳

1位

74.1歳

1位

男性平均

81.5歳

2位

72.6歳

1位

女性平均

86.9歳

1位

75.5歳

1位

 

厚生労働省も同じように平均寿命と健康寿命を発表しており、「健康寿命の令和元年値について」によると男性の平均寿命は81.41歳で健康寿命は72.68歳、女性の平均寿命は87.45歳で健康寿命は75.38歳と、どちらもそれぞれ過去最高を更新しています。

このように日本は世界一健康寿命が長く、長寿の国です。
インフラが整い清潔な環境と医療の発達、食生活や栄養状態の改善、そして他国に比べて貧富の差が小さいことが平均寿命を伸ばしていると考えられています。
しかし、長寿ということはそれだけ生活費などのお金が必要になってくるということも事実です。

老後の生活費はいくら必要?

生命保険文化センターの2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられている最低日常生活費は平均月額で23.2万円となっています。
旅行や趣味などで老後を豊かに過ごすために必要な費用として、最低日常生活費以外に必要と考えられている金額の平均は月額で14.7万円で、ゆとりある老後生活費は37.9万円となっています。

あくまでも平均として上記のような結果が出ていますが、老後生活が現役生活と比較して経済的にどのように変化すると考えているかをみると「つつましい生活」が63.9%となっています。
そのように考える理由として老後生活に不安感を抱えている人が82.2%もおり、その具体的な内容は「公的年金だけでは不十分」が79.4%、「日常生活に支障が出る」が57.3%、「自助努力による準備が不足する」が36.3%、「退職金や企業年金だけでは不十分」が31.4%の順となっています。

老後生活において生活資金への不安が大きく、公的年金を頼りにしているがそれだけでは足りないと考えていたり、また準備も不足してしまうと不安に感じている方がとても多い結果となっています。

公的年金はいくらもらえるのか?

会社員であれば国民年金と厚生年金に加入しているため、現行の制度ならば65歳以降に老齢基礎年金と老齢厚生年金を毎月受け取ることができます。

老齢厚生年金の受給額は納付期間と収入額によって決まるため一人ひとり異なりますが、受給額の目安として、厚生労働省が発表した令和2年度「厚生年金保険・国民年金事業年報」によると、令和2年度末の老齢基礎年金の平均受給額は56,358円、基礎年金月額を含んだ老齢厚生年金の平均受給額は146,145円となっています。

老後に夫婦で受給できる金額に関しては2人が厚生年金に加入していたかどうかで大きく変わり、夫婦共働きの会社員で平均額を受給できれば月30万円弱、夫婦のどちらかが会社員で、どちらかが自営業やフリーランス、または扶養されている配偶者であった場合は月20万円程度の受給額となります。

総務省が発表した「家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の収入は社会保障給付が219,976円であり、また日本年金機構が発表した「令和4年4月分からの年金額等について」によると、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は219,593円となっています。

夫婦2人でのゆとりある老後生活費に足りていないどころか、最低日常生活費の平均月額23.2万円にも足りずに預貯金を取り崩して生活することになりますし、急な出費などでまとまったお金が必要になった場合には生活費をさらに圧迫してしまいます。

また、上述した日本年金機構の発表にあった通り令和4年4月分からの年金額が、令和3年度から原則0.4%の引き下げとありました。現役世代が年金を受け取る頃には更に減額されている可能性が高く、早めの資産形成が必要になってくると考えられます。

老後の足りない生活費をどのように補うか

老後のための準備として資産形成を考えてみると、まずは預貯金を利用して現金を蓄えようと思いがちですが、現在の低金利のなかで預貯金のみで資産形成するのは、効率面を考えるとあまりおすすめできません。

そこでより効果的な株などの投資商品を活用することも考えられますが、こちらはキャピタルゲインが中心となるため、老後の資産形成のために安定的な収入を得ることが目的と考えるとリスクが高めです。

着実に老後資金を貯めるためには、長期的に安定したインカムゲインを得ることが理想的で、投資商品の中でも比較的実現しやすいのが不動産投資といわれています。
早く始めただけ金融資産の蓄えにも余裕ができますし、継続して収入を得ることで将来の預貯金を減らすことなくゆとりある生活を送ることを目指せます。

不動産投資で老後の資産形成

不動産投資を活用する上での魅力として、レバレッジをかけて資産運用ができることがまず挙げられます。
他の投資商品でもレバレッジをかけて自己資金の何倍もの取引が出来ますが、不動産投資の場合はローンを利用してレバレッジをかけます。

現在は低金利で融資を受けることができる上に、物件価格の全額を用意せずに始められて、自己資金以上の実物資産を所有することができます。
そして、その物件からは安定した家賃収入を得られる可能性があります。
賃貸需要が見込める物件の利回りは、現在の普通預金や定期預金の利回りより圧倒的に高いです。

つまり低金利の今は、銀行などにお金を預けても増えませんが、融資に対しては返すお金が少なくなるので、低金利であればあるほど借り入れをするメリットは大きくなります。

資産形成のためにローンを利用して不動産投資を始め、毎月安定して家賃収入というかたちでお金を稼いでくれると、月々のローンを負担なく返済していくことが可能となりますし、早い段階から始めればそれだけ早く資産形成も進むため、将来的にはローンを完済した物件の家賃収入が老後のゆとりある生活を支えてくれるといえます。

このように不動産投資によって安定的にインカムゲインを得る仕組みの構築が目指せます。つまりは自分年金の完成です。

まとめ

将来的に受け取れる年金は減額されることが目に見えていますし、平均寿命も年々延びて、リタイア後の時間が長くなっているのも事実なので、早い段階からしっかりと準備することが大事です。

老後はどのような生活を送りたいのか、持ち家なのか賃貸なのか、持ち家であればローンが残っているのかなど、世帯によって収支も違いますし、さまざまなケースがあるため一概にいくらあれば安心なのかはわかりませんが、資産形成は早い段階から長い期間行えば、福利の効果も影響して驚くぐらいの成果がでます。

預貯金などで貯めておくということだけではなくて、給与以外の収入源を確保することも大切な準備だと思いますので、この記事が老後の資金づくりのためのきっかけになったら幸いです。

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