前回の記事では、新築・中古ともにマンション市場は需要の高さに比べて供給が追いついておらず、価格も堅調に上昇しているとお伝えしました。
新型コロナウイルスの影響を感じさせないほどのこの好調ぶりはマンション市場だけではなく、東京の不動産市場全体に言えることです。
現在の不動産市場は活況と言われており、メディアによってはバブルとも表現している今の状況についてご説明します。
総合不動産サービス大手のジョーンズ ラング ラサール(JLL)によると、2020年通年の世界の商業用不動産投資額で、東京が227億ドル(約2.4兆円)で3位だったと発表されました。
2020年1~9月期までは東京への投資額が世界首位でしたが、2020年第4四半期で年末にかけての売買が膨らんだ首位のパリと2位のロンドンに抜かれています。
世界全体の通年の投資額は前年比28%減の7,620億ドル、地域別でみると、アメリカ大陸の通年の投資額は38%減の3,390億ドル、EMEA(ヨーロッパ、中東及びアフリカ大陸)の通年の投資額は17%減の2,820億ドル、アジア太平洋地域の通年の投資額は20%減の1,410億ドルとなってます。
コロナ禍で全体の投資額は前年より減少していますが、不動産への投資活動が活発な都市として3位ということは、東京への不動産投資の魅力が高いと言えそうです。
2020年通年の日本国内における不動産投資額は前年比4%減の4兆5,714億円と発表されています。
日本企業や日本の投資家による海外不動産への投資額は、前年と比較すると半分以下に大幅減少してます。しかし、海外投資家による国内不動産への投資は、2020年では1兆5,578億円と前年の投資額の1兆12億円を大幅に上回っており、日本国内への不動産投資需要は高く、コロナ禍にあっても2020年通年ではわずか4%の減少にとどまっています。
また、国内の不動産投資額に占める、海外投資家による投資額の割合は34%と、過去最大であった2007年と同じ割合になっています。それほど多くの海外投資家が活発に動いています。
物流施設と賃貸マンションはコロナ禍でも安定収入が見込めるとして投資需要が高まっており、投資額が上昇しています。
特に物流施設の取引増加によって、千葉・埼玉・神奈川からなる東京圏(東京都除く)は投資額割合が25%と過去最高を記録しています。
また以前から続いていた傾向ですが、海外投資家による東京都心の賃貸マンションへの投資拡大が活況を呈しています。
新型コロナウイルスの影響が大きく、ロックダウンや入国制限などで経済の減速感が強まっている欧米の主要都市よりも、相対的に影響が軽微で割安感のある東京の不動産が注目されているとみられています。
コロナ禍においても日本の不動産市場は、物流施設や賃貸マンションの投資額が増加傾向を続けており、2020年通年での不動産投資額は前年比4%の微減でとどまっています。
特に東京への不動産投資額は世界の都市のなかで3位と、その注目度は高く国内外の投資家からの投資需要は加速しています。
国内の不動産投資市場は活況で、マンション市場も好調に推移しています。
では、新型コロナウイルスの影響による働き方やライフスタイルの変化に伴って、投資として所有した物件に対する賃貸需要はどうなのか?次回は賃貸市場についてお伝えします。